水害被災からもうすぐ二年。

平成27年の9月、関東、東北で起こった水害で、我が家も被災してからもうすぐ二年になります。

我が家は床上80センチくらい水没して、家財一式全て失った感じです。

ただ、運がよかったのは土砂が流れてきたわけではないということ。だから、掃除はそれなりに楽でした。

一人暮らしだったから、ボランティアさんがいなければどうにもならなかったでしょうが。

 

ボランティアさんも色々な場所を回ってくださっていたので、我が家にかけられる時間は一日限り。

だから、「これは使えるかも」という家具も、面倒なので全部一日でゴミに出しました。

わーっと出して、わーっと空っぽになって、一人きりになってから茫然とする、そんな感じの被災直後の私。

 

何しろ、冷蔵庫も炊飯器も電子レンジも洗濯機もなく、ボイラーは壊れてお湯は出ない、暑くてもクーラーは死亡、寝るための布団もない。っていうか、畳もなければ建具もない、究極のミニマリスト誕生です。

 

床は穴が開いているので、そこから虫は湧いてくる、家の中に私の生涯の天敵である蜘蛛が何十匹どころか、絶対何百匹もいた。

 

もうね、思い出したくもない生活です。

 

車は頭の方まで水に埋まったので、全損扱いで保険が下りました。これは地味にありがたかった。車体価格の三分の二くらいになったかな。

そのお金で安い軽自動車に乗り換えて、残ったお金は家の修理に回す。

 

ただね、家の修理料金が半端ないわけです。

 

水害の恐ろしいところは、最初は大丈夫そうに思えた場所も、数か月たつと駄目になっていくところ。

腐ったりカビたり、木が反ってきたり。扉が歪んで閉まらなくなる、合板でできているところははがれてくる。

さらに、トイレの浄化槽の土の下に埋まっているタンク、これが浮かび上がってきた。タンクが浮いてしまっているから、トイレが流れなくなる。水害に合うと、よくあることなんだそうで。

「埋め直しが上手くいけば、50万以内でコンクリートも打てる、砂利も敷ける。タンクが割れていたら、新しい浄化槽設置で150万」

なんて言われた日にはね、途方に暮れたなんてもんじゃなかった。

でも、何とか埋め直しで済んだから、この件に関しては運がよかった。いや、よかったのか? 浮かび上がらなければこの50万は他に回せたよなあ……。

 

我が家の造りは、昔からある日本家屋。

無駄に障子、襖といった建具が多かった。水に浸かって全部駄目になり、見積もり取ったらそれだけで100万近く。

 

壁は全て左官屋さんに頼んで塗り直し。これも80万弱。

 

台風のせいで瓦、屋根、天井がやられてこれも修理、床材、壁材、もちろん大工さんに払う日当はそれなりに。

 

そうやって、結局500万以上かかったかな(車、家財道具、電化製品は別として)。

途中でお金が尽きて、平成29年の今現在、まだ修理終わってません。

そういや、市からの援助金は20万でした。ボイラーがちょうど20万くらい買い替えでかかったので、それで消えた。

でも、20万というのは援助金としては過去最高額だそうで、市長さんが頑張ってくれた結果です。

(随分後になって、さらに50万出ました。これで建具が入れられた。感謝!)

 

我が家の辺りはまだマシな方で、常総市とかの被害状況を考えたら何も言えないわけですし。

 

で、落ち着いた今になって思うこと。

災害なんてものは、実際に被災した人間にしか解らないことがある。何もかも失った後の虚無感とかね、周りの人が助けてくれなかったら立ち直ることもできなかったと思う。

 

ゼロからのスタートどころか、マイナスからのスタートだけれども、それなりに何とかやっていけるんですよね。

ただ、未だに趣味のためにお金を使うことはできないけれども。

 

今、福岡の水害をネットで見守って、色々思うことはありました。

大雨の被害が出始めた頃、雨から商品を守ろうとしている店員さんたちに向かってテレビのレポーターが一言、「大丈夫ですか?」

 

全然大丈夫じゃねえよ!

 

と、素で突っ込みたくなりましたが、まあ、彼らは訊くのが仕事だものね。

 

Yahoo!ニュースのコメント欄では、色々な人たちがコメントを残していますが、やっぱり一部の方の心ない言葉が気になりました。

「東北の被災者の気持ちが解ったか、九州の奴らめ!」みたいな言葉を残している方もいて、それはどうなのか、と。

 

被災してつらい気持ちを味わってきたのなら、今回被災した方たちの苦しみも解るはずだと思います。

被災者さんたちはネットなんてできない状況かもしれないし、それらは彼らには見えないコメントかもしれませんが、やっぱり言葉は時に暴力になる。

例え頭の中にあったとしても、口にしてはいけない、書いてはいけない言葉っていうのがある。

 

いつかは我が身なのかもしれない。それが自然災害。

 

私はただ、今回被災した方々が少しでも早く、避難所から出られるよう、被災地が復興してくれるよう、祈りたいと思います。