創作小説

創作小説 塔の上の契約者「ドラマのようにはいかない」その2

「俺が好きなのは、レディウィズキラーっていうタイトルのドラマなんですけど」 キャスは僅かに目元を紅潮させつつ熱弁する。「主人公は二人なのかな。男性刑事と、能力者の女性捜査官の話なんですよ! 塔からやってきた敏腕捜査官の女性がね、すっげえ美人…

創作小説 塔の上の契約者「ドラマのようにはいかない」その1

「呆れたぁ。聞いたわよ、B塔のクソガキの見張りに名乗りを上げたって」 目の前にいる赤毛の美女が、眉を跳ね上がるようにして笑う。長い髪を後頭部で無造作に縛っているだけの彼女だが、美女というのは得だと思う。後れ毛ですら色気を感じさせる。「彼を捕…

創作小説 塔の上の契約者「やられたらやり返すのが普通でしょ?」その4

「全く、何だかなー」 俺はベランダの手すりに寄りかかり、それほど遠くはない地面を見下ろしてため息をついた。 そこにはさっきのねーちゃんの姿はどこにもない。しかし、姿は消えてしまっているものの、遠くに気配は感じられた。 魂だけの存在っていうから…

創作小説 塔の上の契約者「やられたらやり返すのが普通でしょ?」その3

「何、言ってるの」 私は彼女の傍に近寄って、その小さく見える塊を見下ろした。 彼女の目はどこか虚ろで、それなのに狂ったような輝きも見て取れる。怯えているようなのに笑い、楽しそうなのに苦しげで、私が知っている彼女とはあまりにもかけ離れていた。…

創作小説 塔の上の契約者「やられたらやり返すのが普通でしょ?」その2

「……あなた、誰ですか?」 我ながら、奇妙な問いだと思った。だから、答えを待たずにスマホを裏返した。 見た目だけで言うなら、何の変哲もないスマホだ。ただ、メーカーとか品番とかはどこを探しても見つからなかった。 ボディはホワイト、傷もなく、新品に…

創作小説  塔の上の契約者「やられたらやり返すのが普通でしょ?」その1

「――白線の内側に……」 いつもと同じ朝。 駅のホームには、通学、通勤のために電車に乗り込もうと列を作って並ぶ人たちの背中があふれ返っていた。 ほとんどの人たちは周りの人間に気を払ったりはしない。電車が止まり、ドアが開くのを待つ。電車から降りる人…