創作小説

創作小説「やられたらやり返すのが普通でしょ?」その3

「何、言ってるの」 私は彼女の傍に近寄って、その小さく見える塊を見下ろした。 彼女の目はどこか虚ろで、それなのに狂ったような輝きも見て取れる。怯えているようなのに笑い、楽しそうなのに苦しげで、私が知っている彼女とはあまりにもかけ離れていた。…

創作小説「やられたらやり返すのが普通でしょ?」その2

「……あなた、誰ですか?」 我ながら、奇妙な問いだと思った。だから、答えを待たずにスマホを裏返した。 見た目だけで言うなら、何の変哲もないスマホだ。ただ、メーカーとか品番とかはどこを探しても見つからなかった。 ボディはホワイト、傷もなく、新品に…

創作小説「やられたらやり返すのが普通でしょ?」その1

「――白線の内側に……」 いつもと同じ朝。 駅のホームには、通学、通勤のために電車に乗り込もうと列を作って並ぶ人たちの背中があふれ返っていた。 ほとんどの人たちは周りの人間に気を払ったりはしない。電車が止まり、ドアが開くのを待つ。電車から降りる人…